キャットフードの原材料(油脂)

猫のエネルギー源として、また必須脂肪酸供給源としてキャットフードに欠かせないのが油脂類です。
キャットフードに使用されている油脂類には、下記のようなものがあります。

・動物性油脂(チキンオイル、ビーフオイル、ポークオイル)
・植物性油脂(パーム油、菜種油、大豆油、ひまわり油、月見草オイル、アボカドオイル)
・フィッシュオイル(サーモンオイル)

以下、それぞれの油脂類の特徴です。

動物性油脂(チキンオイル、ビーフオイル、ポークオイル)

動物性油脂は飽和脂肪酸が豊富に含まれているのが特徴で、また猫が体内で作り出すことが難しいアラキドン酸が豊富に含まれている油脂です。
ただし動物性油脂に含まれる、飽和脂肪酸※1と不飽和脂肪酸※2の割合は何を原料にしているかでそれぞれ異なります。

各動物性油脂の特徴は以下の通りです。

・チキンオイル

動物性油脂でありながら、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸が多いのがチキンオイルの特徴です。
特にチキンオイルはオレイン酸が豊富で、チキンオイル中の一価不飽和脂肪酸※3のほとんどはオレイン酸です。
チキンオイルに含まれる脂肪酸はオレイン酸やパルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸が約4割程度、パルミチン酸を始めとした飽和脂肪酸は約3割、リノール酸などの多価不飽和脂肪酸※4は約1~2割程度含まれています。

・ビーフオイル

ビーフオイルは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方をバランス良く含んでいる油脂です。
パルミチン酸やステアリン酸を始めとした飽和脂肪酸が約5割含まれ、オレイン酸やパルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は約4割程度含まれています。

・ポークオイル

ポークオイルもビーフオイルと同様に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方がバランス良く含まれています。
パルミチン酸やステアリン酸を始めとした飽和脂肪酸は約4~5割、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は約4割程度含まれています。

植物性油脂(パーム油、菜種油、大豆油、ひまわり油、月見草オイル、アボカドオイル)

オメガ6系の不飽和脂肪酸(リノール酸など)、必須脂肪酸※が多く含まれていると言われる植物油ですが、植物によっては一価不飽和脂肪酸が多いもの、多価不飽和脂肪酸が多いものなどに分かれています。

そのため植物性油脂がキャットフードに使われている場合は、植物油の種類と特徴を確認することが大切です。
植物油が使われていればオメガ6系の必須脂肪酸が十分にとれるとは限らないため注意しましょう。
(※オメガ3系(EPAやDHA、αリノレン酸)、オメガ6系(リノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸)の脂肪酸は体内で作り出すことができず、食物から取り入れなければならないため必須脂肪酸と呼ばれています)

(飽和脂肪酸が多い)
・パーム油

(一価不飽和脂肪酸が多い)
・菜種油
・オレイン酸系ひまわり油

(多価不飽和脂肪酸が多い)
・大豆油
・リノール酸系ひまわり油

フィッシュオイル(サーモンオイル)

オメガ3系の不飽和脂肪酸(EPA、DHA)が多い魚由来の油脂です。
ただしとりすぎると黄色脂肪症になる恐れがあるため、ビタミンEとともにとることが大切です。
キャットフードの原材料に取り入れられている場合は、ビタミンEの含有量、ビタミン剤添加の有無についても確認しておきましょう。

またオメガ3系、6系いずれも多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、フードの酸化に注意が必要です。
酸化防止剤が使われているかどうか、保管方法は適切かなどの確認も行いましょう。

油脂は同じ油脂のようでも、それぞれに異なる特徴があります。
ぜひ油脂の特徴を把握して、猫にぴったり合うフード探しの参考にしてみてください!

※1飽和脂肪酸……エネルギー源や細胞膜となる脂質。中性脂肪やコレステロール値をあげる働きがある。
※2不飽和脂肪酸……エネルギー源、細胞膜の材料となる他、体内の働き(生理活性)に関わっている脂質。中性脂肪やコレステロール値を下げる働きがある。酸化しにくい一価不飽和脂肪酸と酸化しやすい多価不飽和脂肪酸がある。
※3一価不飽和脂肪酸……酸化しにくい不飽和脂肪酸。悪玉コレステロールと呼ばれるLDLを減らす働きがある。
※4多価不飽和脂肪酸……体内で合成できない脂肪酸で必須脂肪酸とも呼ばれる。オメガ3系とオメガ6系があり、いずれも働きが異なるためバランス良く取り入れる必要がある。
RELATEDおすすめの関連記事
トップに戻る